2012-10-21

林田紀音夫全句集拾読236 野口裕


林田紀音夫
全句集拾読
236

野口 裕





噴水の水の平面取戻す

噴水のひらたく水に還る音

噴水の音あけくれて海が見えて

噴水の水のたいらに音たてる


昭和五十九年、未発表句。噴水の句が飛び飛びに四句。そのうち三句が水の平面に関する句。季語としての噴水とは絡むところがないようで、作句時期も夏とは限らない。平静な心境をかき乱すものとして、噴水を象徴的にとらえている。

 

天界へ影を伴い落葉踏む

昭和五十九年、未発表句。落ち葉を踏む音が天界に届くようだ、ということをこのような表現でまとめた。表現の中に影が入り込むのが紀音夫流。昭和六十年、「海程」と「花曜」発表句に、「ぶらんこの天へ出て行く音しきり」。

 

天界へ影を伴い落葉踏む

昭和五十九年、未発表句。落ち葉を踏む音が天界に届くようだ、ということをこのような表現でまとめた。表現の中に影が入り込むのが紀音夫流。昭和六十年、「海程」と「花曜」発表句に、「ぶらんこの天へ出て行く音しきり」。

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