後記 ● 西原天気
誰かが「もう今年も終わりだねえ」と言うのを聞いて、「え？ そうだと困る！ 来年に持ち越せないことがたくさんあるのに」と妙に腹立たしくなって、「まだ、一か月半、あるぞ！」と誰に向かってでもなく（きっと自分に向かって）告げたのでした。
時間というのは、年をとればとるほど加速度的に早く過ぎていくようで、一か月半といっても余裕はコケません。ただ、なんですね、考えてみると、若い人たちの一週間と私の一週間は「長さ」がまったく違うわけで、これだから年齢・加齢は油断がなりません。
それはそうと、さっき、妻がちょっとした遠出から帰ってきて、そのおみやげがイチジクでした。「え？ この寒いのに？」と訝しく思わないでいただきたい。行き先は二月に雛罌粟が咲き乱れるような場所です。きっとそこは冬が短い。
時間とか季節とか、みんな一斉でなくていいんですよ、きっと。
で、ですね、イチジク狩りに行ったと言うのです。イチジク園へ。
そんなの初めて聞きました。
なんでもそこは世界中のイチジクが植えてあって、いろいろなイチジクがもげる。なるほど、と、おみやげを見ると、５～６個がすべて大きさも形も色も違う。
イチジクは大好物なので、明日の朝、食べるを楽しみにしながら寝ます。スペインのイチジクって、どんな味がするんだろうって、想像しながら眠ります。
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今週号の10句作品は3つ。作風にバラエティと幅が出ました。
江里昭彦さんの《角川書店「俳句」の研究のための予備作業 》は『夢座』誌に連載された（当面は）3回シリーズの第1回（前）です。転載を快諾いただきました著者・江里さんと『夢座』誌に深く感謝いたします。また、今回の転載には、関悦史さんに一方ならぬお世話になりました。御礼を申し上げます。
「俳句」誌研究序説、また俳句メディア論序説ともいうべきこの記事と上田信治さん《「俳句」11月号掲載候補３作品を読む》が目次に並ぶこの風景は、なかなかのものです。
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それでは、また、次の日曜日にお会いしましょう。
no.291/2012-11-18 profile
■中嶋いづる なかじま・いづる
1948年生まれ。俳誌『海鳥』同人。現代俳句協会会員。
■谷 雅子 たに・まさこ
昭和22年、大阪府生れ。愛媛県川之江育ち。昭和38年より東京在住。平成元年慈庵開業。俳句同人誌「晨」「鏡」所属。短歌「ヤママユ」会員。
■石原ユキオ いしはら・ゆきお
1982年生まれ、岡山県在住。憑依系俳人。わたしとお憑き合いしてください。twitter : @yukioi
■江里昭彦 えざと・あきひこ
1950 年、山口県宇部市に生まれる。現在そこに住む。「京大俳句」「未定」などをへて「鬣」「左庭」同人。句集が3冊。『ラディカル・マザー・コンプレックス』 『ロマンチック・ラブ・イデオロギー』『クローン羊のしずかな瞳』。評論集が2冊、『俳句前線世紀末ガイダンス』『生きながら俳句に葬られ』。
■橋本 直 はしもと・すなお
1967年生。「豈」同人、「鬼」会員。「俳句の創作と研究のホームページ」
■田中英花 たなか・えいか
1949年兵庫県生まれ。96年「火星」入会、2006年退会。07年「椋」入会。句集『じやがたらの花』（2009年）上梓。俳人協会会員。
■平井岳人 ひらい・たけひと
1989年生まれ。茨城在住。「銀化」所属。第四回石田波郷新人賞受賞。
■関悦史 せき・えつし
1969年、茨城生まれ。第1回芝不器男俳句新人賞城戸朱理奨励賞、第11回俳句界評論賞受賞。「豈」同人。共著『新撰21』（邑書林）。URL:http://etushinoheya.web.
■小川春休 おがわ・しゅんきゅう
1976年、広島生まれ。1998年「童子」入会。2009年「澤」入会。現在「童子」同人、「澤」会員。句集『銀の泡』。サイト「ハルヤスミ web site」
■野口 裕 のぐち・ゆたか
1952年兵庫県尼崎市生まれ。1952年兵庫県尼崎市生まれ。二人誌「五七五定型」（小池正博・野口裕）完結しました。最終号は品切れですが、第一号から第四号までは残部あります。希望の方は、yutakanoguti@mail.goo.ne.jp まで。進呈します。サイト「野口家のホーム ページ」
■上田信治 うえだ・しんじ
1961年生れ。「ハイクマシーン」「里」「豆の木」で俳句活動。共著『超新撰21』（2010）。ブログ「胃のかたち」
■西原天気 さいばら・てんき
1955年生まれ。「月天」同人。句集に『人名句集チャーリーさん』（2005年・私家版）、『けむり』（2011年10月・西田書店）。ブログ「七曜堂」 twitter
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