2012-12-30

「週俳の2012年」回顧〔2〕四月~八月

「週俳の2012年」回顧
〔2〕四月~八月:第258号~第270号 ……村越 敦


エイプリルフールと日を同じくする第258号は八田木枯さんの追悼特集。過去の週刊俳句の記事を紐解く形で作品・評論などさまざまな角度から木枯さんの「懐」に飛び込んでいく。また、前号に引き続き展開される四ッ谷龍さんの写生論は大いに読み応えあり。

第259号は俳句作品が合計60句というボリューム。西村麒麟さんの「鶯笛」30句は、まさに麒麟さんの穏やかな人柄をぼんやりと感じさせてくれる、心地よい作品群。他方で渕上信子さんの「長き夜」の30句は、その解題でアッと驚かされます。

第260号宮崎斗士さんの「空だ」10句は伸びやかで自由闊達な雰囲気が印象的。橋本直さんの「俳句の自然 子規への遡行」は、『若竹』からの転載スタート。さらに「俳コレの一句」「週俳3月の俳句を読む」ではずらりと鑑賞が並び、壮観。句を鑑賞される・できることの贅沢さがなんとなく思い起こされます。

4月4週目の第261号は、「hi→まるごとプロデュース号」。執筆陣の平均年齢がぐぐっと下がり、週刊俳句がいつもと違ってカラフルな雰囲気に。(と、おもったのは私だけでしょうか。笑) hi→のみなさんの作品のみならず、【hi→によせて】と題したhi→への愛に満ちたラブレター群も、必読です。

第262号山田真砂年さんの「世をまるく」10句、貫禄です。更新日の前日に行われた週刊俳句5周年記念オフ会の様子は、いただいた句をなんとその二次会の席上で打ち込むという上田信治の早業により、今号にすみやかに掲載。《森しあわせ光に春の蚊を浮かべて  池田澄子

第263号は俳句作品が掲載されないながらも評論が充実。五十嵐秀彦さんの「俳句集団【itak】前夜」は、これから面白いことにチャレンジしようとしている方々のわくわく感が生き生きと伝わってきます。『里』より転載の小林苑をさん「空蝉の部屋 飯島晴子を読む 〔5〕」に記されているのは、息を呑むような、晴子とその父との微妙な距離感。

第264号でまず目に飛び込んでくるのは、竹岡一郎さんの「比良坂變」153句。圧巻です。「週俳4月の俳句を読む」からは、鳥にまつわる秀句を取り上げた小川楓子さんの「鳥に会いたくて」が出色。

第265号は、橋本直さん「俳句の自然 子規への遡行」、かまちよしろうさん「そんな日」、そして小川春休さん「朝の爽波」、野口裕さん「林田紀音夫全句集拾読」、上田信治「成分表」と週俳連載記事オールスターの様相。みなさま、本当にいつもありがとうございます。

第266号、【超新撰21の一句】は野口裕さん「胃弱なんだろうな 小川軽舟の一句」の“カツサンド考”。他方で西原天気の【俳コレの一句】は林雅樹さんの“パンツ名句考”。奇しくも非対称なこの組み合わせが、週俳の醍醐味といったところか。鈴木牛後さんの「牛の歳時記」は、ついに牧開きの季節を迎えます。

第267号佐川盟子さん藤田哲史さんの10句が好対照。【俳誌を読む】ではしなだしんさんが「豆の木」の人々の生態に迫ります。余談ながら、この回から私村越も週刊俳句の編集に加わることに。案外、大変でした。

第268号関悦史さんの【句集を読む】は、石原明句集『ハイド氏の庭』。また〔週俳5月の俳句を読む〕には角川賞を受賞され、2012年の俳壇の顔となった広渡敬雄さんをはじめ多くの方々の熱のこもった鑑賞が寄せられています。

神野紗希さんの「忘れろ」10句にはじまる第269号、【俳誌を読む】では前号とおなじ「豆の木」を、今度は西丘伊吹さんが違った角度から読み解きます。

第270号は、週刊俳句本篇もさることながら、そのイベント告知スペースが多彩でおもしろいです。気がつけはもうどのイベントも終わって年の暮、なんとも不思議なものです。

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