2013-11-10

10句作品テキスト 山岸由佳 よるの鰯雲

よるの鰯雲   山岸由佳

すこしづつ街乾きをり秋の蝶
くれなゐの花の散らかり鵙の昼
遠くよりコスモス指してゐる水辺
鉄橋を越えて異郷の稲びかり
うしろより口笛よるの鰯雲
星飛んで人の匂ひをなつかしむ
みづうみの傷つきやすき赤蜻蛉
寝袋に入り木の実の音つづく
やすらかな真葛の雨を曳きにけり
銀杏降る夜空へ近き交差点


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