2014-04-13

自由律俳句を読む39 第二回全国自由律句大会〔1〕 馬場古戸暢

自由律俳句を読む39
第二回全国自由律句大会〔1〕

馬場古戸暢


近年になって「自由律句のひろば」という組織が発足した。これまで各々で活動していた自由律俳句結社や個人を、ひとつどころにまとめることを意図して、一昨年より全国自由律句大会が開かれている。昨年2013年の10月末には、名古屋にて第二回大会が開かれ、全国から890の句が集まった。今回より二回にわたって、これら890の句より10句を選んで鑑賞したい。

ここに祖母の磨いた飴色廊下  正木土易

誰もがなんとなく記憶の片隅に有している景のように思う。この廊下が輝くことはもはやないのだろうが、飴色廊下の思い出は色褪せない。

まだ小さな夢があって踊る湯どうふ  久光良一

「自由律句大賞」句。鍋の中で煮たてられる湯どうふは、いったいどんな小さな夢を持っているのだろうか。

蟻の本気が群がる  本山麓草

「自由律句準大賞」句。蟻どもは、生きるためには容赦ない。まるで執念のかたまりのようにみえることもある。

歩いて月へ行けそうなふるさと  大久保昇

「自由律句名古屋大会賞」句。ふるさとにおいて、月明かりの中で散歩をしているところだろう。なかなかいい気分である。

遮断機の音とけてゆく春おぼろ  加藤好美

春の陽射しの中で、眠りを貪っているところだろうか。気持ち良さが伝わってくる。

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