2014-11-23

10句作品テキスト 美食の耳 岡田一実

美食の耳   岡田一実

空風おほきな耳が耳のまま

冬帽をおほきな耳と考へる

サーカスに売られし犬と悴めり

午後の陽にゆるされてゐる寒い鳥

肉塊に親しき刃物冬きざす

まぼろしの鹿肉うまき時雨かな

童貞の兎でうさぎ汁を恋ふ

食へさうな象ふかふかと絨毯に

耳があるつづきに顔がある炬燵

飛び交はすおほきな耳に雪が降る

0 comments: