自由律俳句を読む 79
第三回全国自由律句大会〔1〕
馬場古戸暢
2014年10月19日、第三回全国自由律句大会が東京にて開催された。投句数は561であり、投句者の互選によって入賞作品が決まった。自由律句大賞を受賞したのは、33点を獲得した「夕暮れがもっと一人にする」(田中里美)である。以下では大会作品集より数句を選び、鑑賞したい。
未婚の腹水泳ぐ胎児のプール 久保田晋一
「未婚の腹水」の表現が面白い一句。胎児にしてみれば、そんな社会制度など関係あるまい。来たるべき時に備えて、ただ泳ぎ続けるだけなのだ。
鈍行を乗り継いで行く子見送る 安門優
田舎に残る親側からの視点だろう。しかし鈍行を乗り継がなければいけない地方とは、現代の日本でどのあたりとなるのだろうか。いっそのこと、飛行機を用いた方が最近では安い気もした。
伸ばした小さな手も桜 徳永純二
入賞句。桜と子供は、景として非常に愛らしい。この子供の周囲には、たくさんの笑顔が広がっていたことだろう。
私の墓場に蝶が来ている 野村信廣
生前に墓地を入手すると、たまに掃除へ赴くことが日常生活のうちに組み込まれる。自分が逝った後の様子を想像できる、静かな景であった。
もう母でない母と座っている 島田茶々
準大賞句。恍惚の人とは、何になってしまった者なのだろうか。母でない母は、本当に母なのだろうか。
2015-02-08
自由律俳句を読む 79 第三回全国自由律句大会〔1〕 馬場古戸暢
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