2016-03-20

脇起し九吟歌仙 ひとときのの巻

脇起し九吟歌仙 ひとときのの巻

   ひとときの太古の焔お水取り  和田悟朗
    余寒おほきくうつろへる影   ゆかり
   かざぐるま風を愉しみ音立てて   銀河
    どこからか来るなつかしき声    七
   昼月のぼやけ両国橋の上      苑を
    電車から見て町は爽やか      令
ウ  紅葉へと女子大生の集まれる    由季
    楽屋口には菓子と手紙と     媚庵
   ささやきは拍手の波をくぐりきて   裕
    鎖骨に触れる罪の舌先      なむ
   蒟蒻を用ゐ閻魔を手なづける     り
    天動説に沿ふも夏月        河
   レコ-ドの傷撫でてゐる宵涼し    七
    先端恐怖症の眼科医        を
   学会へマジックインキで書く図表   令
    乾けばすぐに羽織る春服      季
   夜の花の向かふ側から汽笛鳴る    庵
    鮊子釘煮水分子形         裕
ナオ 抜け忍の家系で草を煎じ飲む     む
    貨物列車のやうなリビドー     り
   速読で知つたつもりのこと多く    河
    蕩蕩として忘却の川        七
   この冬に流行るてふ縞馬模様     を
    氷湖の上でスピン楽しき      令
   五年後の五輪に備へ竹植うる     季
    洗ひ飯食ふ宮本武蔵        庵
   帰りゆく燕の彼方眺めつつ      裕
    物の音の澄む神宮球場       む
   たれかれを招くでもなく月招く    七
    猫は伸びたりまるくなつたり    を
ナウ 二上の雪の時空に律あらむ      令
    揺れをさまりて曇る白息      河
   眼球を動かしてゐる画学生      庵
    庭を旅して逃げ水を追ふ      裕
   永劫のまほろばに置く花の昼     む
    この世に誘ふ一頭の蝶       季

起首:2015 3 7()
満尾:2015 323()
捌き:ゆかり
企画:銀河

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