2016-05-08

【八田木枯の一句】 草刈にもう朝の日の暑いほど 西村麒麟

【八田木枯の一句】
草刈にもう朝の日の暑いほど

西村麒麟


『八田木枯少年期句集』より。

草刈にもう朝の日の暑いほど    八田木枯

よくある情景のよくわかる俳句だ。

面白くもなんともない草刈(草刈は季語だ、嬉しい、なんて言っている人は現実の世界にはいない)をしながら、朝なのにもう暑いやと太陽を見る。早く草刈を終えないと、さらにひどい暑さとなり、大変なことになるだろう。

ぎらぎらとした、少年の頃に見た夏の朝日は、どうしてだかいつまでも心に沁みついてしまうような気がする。

洗ひ髪身におぼえなき光ばかり  『汗馬楽鈔』(1988年)

洗い髪の句は代表句であるし、比べてしまうと草刈の句は随分と地味だ。

しかし、木枯さんにとっては、草刈の日の光もまた、忘れられないものであった気がする。

こちらの光と、あちらの光と。

光の記憶はいつまでも眩しい。


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