2016-12-04

2016「石田波郷新人賞」落選展 5. 死してなほ 森優希乃

2016「石田波郷新人賞」落選展





5. 死してなほ 森優希乃

残雪やポストへひかり入れてやる
心臓のまづ生まれたる春霞
卒業の朝をはかれる水平器
春滝へ着くまで大樹しか触れぬ
死してなほ象舎へ入らんと落花
誕生はずぶ濡るること夏の星
たちまちに影遅れ出す蜥蜴かな
雨に気付いてほうたるを見失ふ
水中花今も化石の生まれゆく
夕立のおはりを知つてゐる遊具
空蝉のいまだに羽化を待つかたち
風となり切れぬ糸瓜のかるさかな
台風来大樹のやうな弦楽器
胃カメラのどこまで至りたる無月
長電話檸檬をもう一度絞る
木枯や麻酔もうすぐ消えるやう
いま鳥の留まつたらうか風邪の部屋
焼藷を剥き終へ指の淋しなる
書初の並べて干されゐる呼吸
夜の雨閉ぢ込め蝋梅の眩し

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