2017-01-01

京都の案件 『鷹』2017年1月号の小川軽舟「顔」12句 西原天気

京都の案件
『鷹』2017年1月号の小川軽舟「顔」12句

西原天気



『鷹』2017年1月号より。

空也忌のビフテキ食ひに祇園まで  小川軽舟

ビフテキは関西の言い方。ビーフステーキが全国的呼称で、関西人以外には異国的な響きをもつかもしれない。そのビフテキを京都関連の2語が挟む。


ところで、これ、「お金持ち俳句コレクション」(個人的に蒐集している。≫こちらを参照)に加えていいのだろうか。

ビフテキはある程度庶民的(関西は牛肉をよく食べる)。だけど、「祇園」がもう、カネの匂いぷんぷん。

思い出したので、記しておきますが、こちらは、コレクションに入れるべき。

 中嶋憲武 毛皮夫人50句
 http://hw02.blogspot.jp/2009/01/50.html

お金持ち俳句は懐が深い。



閑話休題。

お金持ち俳句うんぬんとはまったく別に、『鷹』1月号の小川軽舟「顔」12句が、とてもおもしろい。

前掲句のほか、

女の身肌も息せり毛布引く 小川軽舟

マッチの火かばふ女の手の寒し  同

寒さうに日当たる顔と別れけり  同

と、婀娜っぽい。

作者の近著『俳句と暮らす』(2016年12月/中公新書)では、「妻に会う」の章が設けられ、単身赴任中も夫婦の仁義を守る律儀な作者像が示されているが、上掲3句に登場する女性は、どうにもこうにも玄人スジ。ま、単身赴任中の近畿地方で、そんなことがあったとしても、ぜんぜんオッケー。

で、「顔」12句の掉尾は、

坂のぼるマフラーの顔みな未来  同

と、健全。若者・学生でしょう、この顔は。


祇園のビフテキに始まり、いろいろあって、明るくのびやかに締める。幅のある12句を楽しませていただきました。





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