2018-03-18

【週俳2月の俳句を読む】そういうときの 宮本佳世乃

【週俳2月の俳句を読む】
そういうときの

宮本佳世乃


春風に吹かるる鳩を見て帰る  堀切克洋

春風は、基本的にはやさしい風。季節はまだ少し肌寒い。
休みの日や、ぽーんと余裕ができた日、
しゃらしゃらとしたスーパーの袋でも提げて、鳩を見て帰る。
この句を見ていると、のんびりしたくなる。

姿見の下の屑籠暮れかぬる  黄土眠兎

姿見も、屑籠も、最近はあまりきかない言い方だ。
だからこそ、暮れかぬるの世界観が生きてくる。
たしかに姿見の下には小さめの屑籠がありそうだし、
そういう空間にいるときの、なかなか暮れて行かないようす。
そういうときの、気持ちのありよう。



堀切克洋 きつかけは 10句 ≫読む
第564号 2018年2月11日
野口 裕 酒量逓減 10句 ≫読む
第565号 2018年2月18日
黄土眠兎 靴 10句 ≫読む
第566号 2018年2月25日
川嶋健佑 ビー玉 10句 ≫読む

0 comments: