2007-12-23

10句作品 テキスト 仲 寒蝉 間抜け顔

 間抜け顔     仲 寒蝉



真ん中に鼻の居すわる十二月

裏口で鯨の肉を見せらるる

梟の何も見てゐぬ昼間の目

むささびの音無く飛ぶといふは嘘

鮟鱇鍋いつしか秘密結社めく

役立たぬものを購ふ年の市

はんぶんは風の取り分凍豆腐

除雪車の間抜け顔なる晴つづき

だんだんと泣き顔になる雪達磨

天袋より引きずり下ろす聖樹かな




3 件のコメント:

  1. 真ん中に鼻の居すわる十二月
    この顔に生れて、受け入れて数十年、
    いつも真ん中に居座って、風通しよい鼻の穴

    鮟鱇鍋いつしか秘密結社めく
    ひとりひとりがいつしか謎めいて得体の知れない鮟鱇めく

    除雪車の間抜け顔なる晴つづき
    だんだんと泣き顔になる雪達磨
    は平凡だけど、

    天袋より引きずり下ろす聖樹かな
    これはいい
    天の袋だもの、聖樹の百本くらいはあるさ!

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  2. 「天袋」って、押し入れの上の方に設けられた収納場所のことを言うのではないか、と思って読んでいたのですが、「天の袋」として解釈すると、また別の世界が広がってくるようです。基本は写実なのでしょうが、そこに作者なりの主観を織り込むという作風からすると、そのような解釈もありかな、などともちょっと思ったりします。

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  3. 言葉が足りませんでした。
    天袋は勿論 押し入れの上部の戸棚のことですが、
    想像の翼を拡げてみました
    もしかしたら、空には天網や天袋があるかもしれませんから (^^)

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