2008-07-27

10句作品テキスト 北川あい沙 柿の花

 柿 の 花    北川あい沙

いちまいの布となりたる南風
植物の絵を描いてゐる指涼し
輪郭の薄くなりたる昼寝人
栗の花咲いて囁き声となる
蜜豆の蜜ゆつくりと流れけり
箱庭の池で泳いでゐる魚
のうぜんを見てゐる人を見るやうに
人の世にぽかりと浮いて柿の花
細長き線画のやうな夏の風邪
素裸になりどこからも遠くなる



1 comments:

二百字詰原稿用紙 さんのコメント...

一句、お借りしました。