2009-02-08

10句テキスト 島田牙城 靴下の匂ひ

靴下の匂ひ   島田牙城


山頂の落ちさうな岩春立ちぬ

耕してゐるうしろ側月通る

眼前の笹の憮然へ耕せり

三角の頭巾の裾を耕せる

胸中の水は沸かずも梅開く

靴下の匂ひと思ふ春の泥

紅梅白梅犬の髑髏を死蔵して

二月四日百回千回と轢かれ

梅さんが咲いたと告げてから逝かう

撫でてをるのは春水のおもてがは

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