2009-12-06

〔俳誌を読む〕 『俳句研究』2009年冬の号を読む 上田信治

〔俳誌を読む〕
『俳句研究』2009年冬の号を読む

上田信治


さる方より、謹呈分が余ったからと「俳句研究2009年冬の号」を譲っていただき、はじめて読むことができました。

ご案内どおり「俳句研究」は2007年9月号をもって休刊し、2008年春より版元を移して復刊しました。

書店販売のない直販で、「新規にお申し込みの場合は、お葉書かお電話・FAXにてお申し込みください。折り返し振替用紙をお送りいたします」と広告にあるのですが、その手続きのハードルが高く、これまで購入に至りませんでした。下さった方、ありがとう。

今号の特集は「俳人大アンケート」「2009年日本の句集110」という総覧もので、特集としてはハズレの類。アンケートは、各作家が今年の自作一句と人の句三句をあげているので、オール俳人の今年時点での充実度を測るにはよきかも。あ、れおなさんは、回答していませんね。

連載は、小林恭二「恭二歳時記」高柳重信について。「彼は同時代の俳人の誰よりも、よく俳句を知っていましたし、おそらくは誰よりもうまく俳句を書ける人でした。しかし、それは彼が真実の俳人でなかった一つの逆説的な証のような気がするのです」

仁平勝「おとなの文学」マクガフィンについて(仁平さんはだいぶ内田樹が好きなようです)。「「二物衝撃」という概念がインチキ臭い」という話なのですが、今回は本論に入らず、結論は次号に持ち越されました。それこそまさに、手中にマクガフィンを扱うがごときやり口。

他に、大石悦子「師資相承」(自伝的エッセイ)井上弘美「京都ーーふたたび冬」堀切実「芭蕉たちの俳談」。前号からの新連載、山田弘子「六の花ふりはじめたりーー評伝・京極杞陽」は気になります。

でですね、この雑誌のキモは、大量の俳人の作品が載っていることです。

10句13人(綾部仁喜、茨木和夫、今井杏太郎、大木あまり、柿本多映、鈴木鷹夫ほか)。8句16人(仁平勝、対中いづみ、日原傅ほか)。30句競作(公募企画)入賞者競詠と題して24人。巻末には、なんと「現代俳人300名による【冬の作品集】」。300人というのは、年鑑で今年の5句みたいのを出しているクラスの人です。あとは俳句研究賞関連(応募常連も含めて)の人。

若手がほとんど入っていないのは残念ですが、これだけ集めてもらえれば、気になる作者が、20人30人と含まれているので、たいへん読みでがあります。句会のノリで、マルバツを付けながら読むのがいいかも。

購読申し込みの振替用紙は、綴じ込んであったので、第一関門はクリアしました。次号買うかどうか、考え中です。

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