2010-07-11

真説温泉あんま芸者 第4回 俳句賭博 句会でヒリヒリする方法

真説温泉あんま芸者
第4回  
俳句賭博 句会でヒリヒリする方法

さいばら天気



文明誕生のはるか以前、大草原に立ちつくすヒトの小集団。さて、獲物がいるのは、南か北か。どの方向へ行けば、食糧が手に入るのか。

これが、人類最古の賭博だった。

と、むかし読んだ竹内久美子のエッセイにありました。木片を投げて、進むべき方向を決めたとか。



ええっと、つまり、タイミング的にギリギリだろう、ということで。名古屋場所、はじまりますし。

賭け事。それも俳句を使って賭け事を楽しみましょう、という話です。

賭け事は、胴元がいるものと、いないもの、この二つに大別できます。胴元がいるという点では、野球賭博も競馬もパチンコも同じです。宝くじはあまりに胴元が強く賭け事とは言えないくらいですが、これも胴元がいる部類。麻雀や花札には、場所代はあっても、胴元はいないという解釈でいいでしょう。

野球賭博と競馬などの公営ギャンブルとは、もちろん法律面では違います。馬券を買っても罪は問われません。それで思い出しましたが、ここで提唱する「俳句賭博」も、厳密にいえば法律上いけないことですから、やるときは、あまりおおっぴらではないほうがよろしいです。

では、そろそろ本題に。



俳句でオカネを乗っけるには、どんなやり方があるだろうか、というのが出発点でした。俳句というより、句会で乗っける(「乗っける」とはオカネを賭けることです)。

最高点句に賞品・賞金を出すのは、わりあい広くおこなわれています。むかしの雑俳は、賞品・賞金目当てという点で露骨だったようです。

ところが、この方式、博打好きには、あまりピンと来ない。負けた痛さがないからでしょうか。賞品・賞金は、あくまで副次的だからでしょうか。賭け事をしている気にならない。なにか、いい方法はないか。

で、思いつきました。

方法を説明します。



1)同じ句会に参加する人から、乗っける相手を探す。

麻雀にサシウマという方式があります。ご存じない方にいちおう説明しますと、四人ないし三人の点数を争うのと併せて、二人だけで順位を争い、その勝ち負けで賭け金を動かす。サシの勝負といいますが、あの「サシ」です。

句会でも同じことをやる。つまり、二人で点数を争う。

なぜサシウマがいいか。それは、句会参加者のなかには、賭け事を好まれない方もいらっしゃるからです。強制はよくありません。

(句会費を徴収して賞金を出すやりかたは、いわば賭博の強制です。あれはどうかと思います)

もうひとつの理由は、句会全体が賭け事になると、選句に思惑が入るからです。良いと思った句を選ぶから句会はおもしろいのであって、それ以外の思惑で選句が左右されると、つまらなくなります。

だから、賭けたい人同士だけで賭ける。なお、有志が三人を超えても、一対一というサシウマの構造は崩さないほうが、わかりやすいです(一人で何人かとサシウマすればいい)。

2)勝ち負けの決め方は適宜

選句点数の合計でもいいし、最高点の一句の点数でもいいし、それは適宜決めればいいです。

主宰の選を倍付けにする、ラッキーナンバーを決めておいて(例えば9)、合計がぴったりその数で勝てれば倍付けにするなど、ルールのバリエーションは、工夫でいくらでも広がります(複雑になりすぎるのも考えものですが)。

最も刺激的な方式は、掛け算。つまり、入った点数を掛け算する。三句出し等、少ない出句数の句会に限られますが(多いと、計算がややこしい)、例えば、三句出しで、「五点、二点、二点」と点数が入れば、5×2×2=20点。この方式の刺激的なところは、いくら高得点句があっても、無点句があると、0点になってしまうところです。

まあ、足し算がわかりやすいと思いますので、それを推奨。

3)サシウマをやっていることは公表しない

さきほども書いたように、全体の選句に思惑が入らないほうが楽しめますし、句会参加者のなかには、「賭け事」と聞くだけで、眉をひそめる方もいらっしゃるかもしれません。サシウマをやっていることは、できれば句会の参加者に知らせないほうがよろしいでしょう。

4)レートの決め方

いくらのオカネを動かすか。これはあんがいむずかしいです。これで喰おうってじゃありません。娯楽です。句友同士で気まずくなるのもまずい。大きすぎないほうがいい。負けがかさんで定期預金を崩したり、消費者金融に走ったりは、それもその人の生き方ですが、おすすめはできません。

だからといって、小さすぎてもおもしろくありません。負けて、軽くピリっとサイフが痛いくらいがよろしいです。

このへんは、サシウマする二人でじっくり決めればいいと思います。同じレートではなく、サシウマによって違うというのもアリでしょう。

現金を動かすことに抵抗があるなら、喫茶店のコーヒーでも、昼の天丼でも、まったく問題はありません。

「軽く乗っける」。これがだいじ。軽く乗っけるだけで、アタマと気持ちががちょっとヒリヒリして(脳と心臓にメンソレータム塗った感じ)、遊びがいっそうおもしろくなることがあるものです。



以上です。ルールはシンプル。やり方は簡単。ブラックな胴元もいない。イカサマの入る余地もない。我ながらなかなかの名案だと思っています。

さて、この遊び、思いついたのは数年前なのですが、あまり実現できていません。適当な相手が見つからなかったからなのか、私自身、賭け事に以前ほど熱情がないからなのか。

けれども、数回はあります。乗っけてみて、なかなか楽しかったです。勝っても負けても、楽しい。

あ、それで思い出しましたが、「勝たないと楽しくない」という人にはオススメできません。「負けても楽しい人」が、ほんとのバクチ好きです。負けるバクチの楽しさがぜんぜんわからないという人は、バクチが好きなのではなく、オカネが好きなのです。



というわけで、この俳句賭博、というより、「句会で誰かと軽く乗っける」遊び、興味のある方は、ぜひお試しを。


0 コメント: