2010-08-15

平井照敏編『新歳時記』(河出文庫)につっこむ(夏)

井照敏 『新歳時記』(河出文庫) っこむ ()  

ハイクマシーン(佐藤文香・上田信治)


◯季語についての記述は、すべて平井照敏編『新歳時記(夏)』(河出文庫)より引用。

◯カッコ・書体の種類により引用の【季題】「季題解説」〈本意〉 例句 を区別する。

◯文字の色や大きさは、引用者によって、一部変更されている。

◯※印☆印は、引用者のコメント。



『新歳時記(夏)』の解説最後に「これらの業績の上に立って、一項一項筆を進めるとき、私はいつも、伝統の先端に立って、それを一かじり一かじり進めてゆく、栗鼠か何かのような気持をおぼえていた。」とあった。照敏さん……リスだそうです。



時候
【夏の果】

〈季節の果は惜しい気のするものだが、暑さから解放され、美しい秋が到来する喜びもあって、それほど使われぬ季題である〉
※「夏の果」が、そのままつかわれている例句はない。編者は、この季語が嫌いなだけなんじゃ?



天文
【夏の空】
「入道雲、夕立、夕立あとの空、夜の花火、夏の空には、男性的な活気がある」〈光つよく、きらきらと晴れ上った青空、太陽の輝き、入道雲の立つ夏空は暑いが、男性的な活力にあふれる〉
  わが浴むたくましき身に夏の空 飯田蛇笏
  大き木の光りいさまし夏の空  安藤甦浪


※……たしかにムンムンしている。

【夏の雲】
〈積乱雲は雲の峰という別季題なので、青空に白くもりあがる積雲が中心のイメージになる。男性的で豪快な空の眺めである〉
※また出た。



地理
【噴井】
「水の噴き出ている井戸のことで、山近くなどに多い。夏には涼しげだし、物を冷やすのに使えるので、昔は名所になり、茶店も作られていた。家の中の井戸から水の噴き出ているところもある。鯉を飼っていたりもする
※茶店はともかく、鯉情報は、特にいらない。

【滴り】
〈地表に湧く水の滴りで、つめたく、涼しげで、夏の旅先などの忘れられぬ体験になる
  滴りのつぶやき「山は山たりし」  但馬美作

※てかこの人の俳号、筑紫磐井的ね。



生活
【ナイター】
(略)東京ドーム、甲子園、横浜スタジアム、広島球場、ナゴヤ球場など、みなすばらしい照明施設があって、地面の芝、または人工芝のグリーンにはえて美しい。ちょうど勤めもおわり、夕餉のすんだときなので、テレビでナイターを見るのは、楽しい一日のくつろぎの時間になる
  ナイターの蟻出てくるよパンの為  平畑静塔

※心から、お好きそうである。

【水遊び】
〈夏の自然の遊びの代表的なもので、水に入れば、人に水を掛けたくなり、そうしたごく自然の、夏らしい遊びである〉
  水遊びとはだんだんに濡れること  後藤比奈夫

※ああ、何かいい。例句は、かの有名な長谷川櫂氏の「春の水とは〜」と、似てますね。

☆「生活」の項では、鮨の項目がべらぼうに長い。見開きのほぼ全部を使って、いろんな地方の鮨を紹介などしているのだが、長いので割愛。



行事
【父の日】
「六月の第三日曜日。父に感謝をささげる日。一九四〇年、ドッド夫人が母の日にたいして父の日もあるべきだとして提唱し、おこなわれるようになったが、一般にあまり関心はないようである。」
〈母も父もともに感謝されてしかるべきだが、父の日は母の日に比べてあまりおこなわれないようである。てれくさいのか、こわいのか、面倒なのか、父はなんとなく孤独な奉仕者である〉
※単にかわいそうである。



動物
【蚰蜒】
「節足動物で、むかでに近い虫。二センチほど、十五対の足がある。最後の足が長い。これらの足を動かし、速く走る。打ったりおさえたりすると足がばらばらにとれてしまうが、逃げてゆく。足はまた再生するという。しめっぽいところに住んでいる。小さい虫をたべる。いやなものの代名詞に使われ、またげじげじ眉などとも使う。太い濃い眉のことである」
※記述がくどく、最後は眉毛の話になっている。
〈足多く、気持のわるい虫という印象である。梶原景時をもって蚰蜒に比すなどといわれ、わるい印象のつよい虫である〉
  げぢげぢよ誓子嫌ひを匐ひまはれ 山口誓子

※随分印象が悪いようです。



植物
【枇杷】
〈五、六月の梅雨前の時期に豆電球のように熟す枇杷は明るく、があり、食べてもうまい。ただ核が大きくて、つるりところがるのがいたずらっぽい
※なんかもう、胸キュンである。

【睡蓮】
〈花も葉も蓮より小さいが、清らかな花で、花言葉は心の純潔である〉
  睡蓮の今も変らぬホテルかな 京極杞陽

※ぱっとみたところ、ほかの花に、花言葉の記述はない。で、この例句……。



「平井照敏編『新歳時記』(河出文庫)につっこむ(秋)」につづく

→平井照敏編『新歳時記』(河出文庫)につっこむ(春)

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