〔超新撰21を読む〕
国破れてサンガリア
大谷弘至の一句……野口裕
路地の奥朝顔の瀧かかりけり 大谷弘至
この作家、最後には生命論、地球論に行き着く傾きを持つ。その一環としてか、思ったよりも国家や時代を意識している。
破れたる国の薺を摘みにゆく
残る暑のごとき戦後と闘へる
桃喰うてまだ政変を知らずをり
句にはどこかしら、諦観が漂う。国家や現代に期待せず、古きに遊ぶ。一瞬、江戸時代の古句かと、見まがうこともある。句柄を大きくさせる因は、その辺にあると見た。
大ぶりな句に人が感動するかどうかは、存外、書き手の思想の深さで決まるように思う。今後とも彼の思想の深化にたゆみがなければ、いよいよ多くの人を感動させることだろう。
さて、大阪にサンガリアという会社がある。社名の由来は、「国破れて山河あり」から来ている。(http://gigazine.net/news/20060814_sangaria/)
国破れて サンガリア
敵も味方も ヨンダリア
みーんなで仲良く 飲んだりア
サンガリアコーヒー
昔、このフレーズにびっくりしたことがある。
うまく行けば、大谷の句はこの境地にまで達するだろう。上掲句にはその萌芽がある。
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2011-02-06
〔超新撰21を読む〕 大谷弘至の一句 野口裕
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