2012-04-29

10句作品テキスト 山田真砂年 世をまるく

世をまるく  山田真砂年

はなびらのうるさくあらば人逝けり
咀嚼する舌のひらひら春の雪
春の雨人に会ふのに坂下りて
たましひのゆるびてをりぬ花月夜
散る花に陰の塊馬二頭
世をまるく生きて気鬱や八重桜
あたたかや嬰の細胞分光す
春闌けて滝のよぢれの太くあり
春光を縮緬に敷き水湧けり
ぼうたんやふくよかな脚湯に沈め


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