自由律俳句を読む 22
荻原井泉水 〔2〕
馬場古戸暢
前回に引き続き、荻原井泉水句の鑑賞を行う。
石のしたしさよしぐれけり 荻原井泉水
「したしさよ」の主観ぶりが面白い句か。山頭火の「しぐるるやしぐるる山へ歩み入る」の句と比べれば、井泉水の落ち着いた(?)暮らしぶりが描かれているようにも思える。
わらやふるゆきつもる 同
冬のあり方をそのまま詠んだ、韻律が心地よい句。時代を感じてしまう私は、実は「わらや」の現物を満足に見たことがない。
棹さして月のただ中 同
尾崎放哉もそうだが、井泉水にも月を詠んだものによく知られる句が多い。先に紹介した「空あゆむ」と並んで、この句も井泉水の代表句といえるだろう。
湯女もてすりに、あれは蝦夷へゆく船 同
蝦夷へゆく船を、湯女とてすりにもたれながら見送っているのだろう。個人的には、句の中に句読点があるものをあまり好まないが、掲句では読点が効いているように思う。
誰とて黙ってただただ雪降る世相か 同
当時がどのような時代だったかは、その時代を生きた人にしかわからないとも、後代の人にしかわからないとも言える。井泉水はどのようにして、その時代を想っていたのだろうか。
※掲句は伊藤完吾「荻原井泉水」(『自由律句のひろば』創刊号/2013年)より。
2013-12-08
自由律俳句を読む 22 荻原井泉水 〔2〕 馬場古戸暢
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