自由律俳句を読む52
うぐいす〔2〕
馬場古戸暢
前回に引き続き、うぐいす句を鑑賞する。
青い水たまり跳んで世界はおれのもの うぐいす
夏を詠んだ句のように感じた。吾子の様子を詠んだものとしてもよいが、連れ合いの様子を詠んだものと考えても面白い。私自身、こうした思いを抱いたことがあったので、なおさら共感できた。
あなたが帰ってきた桃の匂いたつ 同
あなたが桃を引っ提げて帰ってきたのか、それとも、あなたが帰ってきたからこそ我が家にあった桃の匂いがよりたちはじめたのか。いずれにせよ、皆の笑顔が描かれた句。
ぬるい水飲み干してかなかな 同
「かなかな」は、異常に哀愁を内包する語だと感じる。掲句では加えて、「ぬるい水飲み干して」によって、夏の夕の気怠さが色濃く詠み込まれている。
呼ばれて振り向く月が出ている 同
この月は、あなたの頭上に輝いていたものだろう。予期せぬ発見の様子を、よく詠んだものと思う。
君の隣で雷まだ遠い 同
今回の最初にとりあげた句と同様、ここでの君を、吾子と読んでも連れ合いと読んでも面白い。部屋の電気は消えていて、ふたりで闇夜に震えていたのかもしれない。
2014-07-20
自由律俳句を読む52 うぐいす〔2〕馬場古戸暢
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