2008-04-20

10句作品テキスト 守谷茂泰 春の坂

春 の 坂  守谷茂泰

罪ぶかく春空に浮く飛行船
栞とし忘れる葉書春の鳥
蜂来たるわが混沌のてのひらに
春の日のポストと共に住み古りぬ
朧夜を卵をなぞるごと歩む
巣箱ひとつ作りしのみのひと日かな
人間をくしゃくしゃにして春夕焼
春雨のチョッキ貸したき雀かな
蝶の翅一滴の夜混じりけり
わが影を憶えていたる春の坂

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