
林田紀音夫全句集拾読 166
野口 裕
釘抜きのはみだすときは鋼いろ
昭和五十一年、未発表句。釘抜きで古い釘を抜くときに、錆びついた釘の頭からは想像できなかった鋼色が出てきた、というような意味合いの句。おそらく、トリビアリズムとして一顧だにされなかっただろう。しかし、こういうのを好きな読者もここにいる。おそらく、紀音夫の封印した一面。
欲後すぐ葡萄酒の赤身に流す
昭和五十一年、未発表句。これまた、紀音夫調ではあるが、紀音夫とは想像しにくい句。当時、五十一、二歳。こんなこともあったなあ、という回想句か。
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