週刊俳句2011年アンソロジー 68人68句
健啖に感謝し読み初めは『眞神』 池田澄子 第193号
初御空とは良き言葉窓広く 岸本尚毅 第193号
日輪と言うたびひそやかな火傷 清水かおり 第193号
元旦を素うどんすゝられては縦に 山田耕司 第193号
七草をひたして水をかがやかす 杉山久子 第193号
理髪灯三途の川にふと灯る 須藤徹 第195号
師走の海によ 沈みゆく礫 ドゥーグル J リンズィー 第195号
春よ遠からじゴジラ飼うと夜は 井口吾郎 第196号
はんぺんのマークは紀文鬼は外 菊田一平 第197号
冬至湯に頭まで浸かりぬくよくよするな 榮 猿丸 第199号
クトゥルーより玄き庭木ら剪定期 関悦史 第199号
冬雲におほきな指の影がある 鴇田智哉 第199号
だからバラ必要なんでしょ雪が降る 佐怒賀正美 第200号
簡単なことよ兎は生きている 神野紗希 第200号
寒鯉の鰓より炎なせるもの 高野ムツオ 第201号
江ノ島の先はアメリカ日永し 淡海うたひ 第202号
ああ暗い煮詰まっているぎゅうとねぎ 金原まさ子 第204号
かうかうとこんな日もあり春の月 今井肖子 第204号
水底をゆく太陽とレミングと 九堂夜想 第204号
宇宙より女が還る桜貝 望月 周 第205号
足の指ひらいてとぢて春よ来い ひらのこぼ 第206号
薄蒼く春月出づる地震の国 天野小石 第206号
朧夜の西へ東へだらり帯 矢野玲奈 第208号
ヒヤシンスしあわせがどうしても要る 福田若之 第208号
アスパラガス計画されて明るい夜 関根誠子 第209号
逃水に鍵を返しておかうかな 羽田野 令 第209号
プールより見られて渡り廊下ゆく 今村 豊 第210号
菜種梅雨たまごかけごはん用醤油 白井健介 第211号
筆先の紙に沈みし朧かな 花尻万博 第212号
夕焼けの端が冷凍庫に僅か 高崎義邦 第213号
しらたまはことばとなれるときまろし 生駒大祐 第215号
海を見に行く白靴のおろしたて 村上鞆彦 第217号
川よりもゆっくり歩く緑雨なり 室田洋子 第219号
炉心溶融僕のアイスクリームごと 堀田季何〔訳〕 第219号
身よじらせ明日へと我も泥鰌鍋 大野道夫 第221号
神話一つなくてトマトのかく赤く 橋本 薫 第221号
来たるべき世紀のすでに来て嚔 西原天気 ウラハイ
汗かきし肘にくつつくノートかな 三吉みどり 第222号
月へ撃つ水鉄砲の水の綺羅 堀本裕樹 第223号
こんにゃくは煮ても炊いても笑ひたる 湾 夕彦 第224号
水差しを濡らす日差しや夏の蝶 陽 美保子 第225号
蚰蜒の一部分なり落ちてゐる 奥坂まや 第226号
よく冷えし蕨餅かな船遊 前北かおる 第226号
水漬きたるものより秋の立ちにけり 藺草慶子 第227号
一着の馬首の向かうは天の川 藤崎幸恵 第228号
西瓜切る役目もつたいぶつてゐる 岡田由季 第230号
上弦の月だよお尻が右だもの 佐山哲郎 第230号
教科書の死角に小鳥来てをりぬ 嵯峨根鈴子 第231号
薄目して月光発電中の象 赤羽根めぐみ 第231号
毬栗のふちに森の日あつまりぬ 日下野由季 第232号
望郷はもう死語ですか皆の衆 かまちよしろう 第234号
秋風の波止場に漫画・畳・服 山口優夢 第235号
消えてゐるテレビの中の秋日和 笹木くろえ 第237号
祖母眠る山脈のよう海のよう 豊里友行 第237号
革ソファより底冷を吸い上げる 菊池麻美 第239号
風邪ひきのくちびるのいろ野蛮なり 山下彩乃 第239号
枯菊の高さに犬が来ていたり 田中朋子 第240号
冬眠の前にさびしくなつておく 宮本佳世乃 第240号
水替へて金魚にあたらしき寒さ 原 雅子 第241号
水音を持たぬ手首よ山眠る 髙勢祥子 第241号
ここに神秘がある金平糖もある 御中 虫 第241号
顔ひとつ重し重しと野菊摘む 渋川京子 第242号
夢は枯野を少年少女合唱団 山田露結 第242号
飛び立ちてもとのところへ日向ぼこ 阪西敦子 第242号
煎餅の粗目眩しき湯ざめかな 小野あらた 第242号
何回も雪見障子の落ちてくる 岡野泰輔 第243号
斜陽こそ冬至南瓜の色ならめ 太田うさぎ 第243号
対岸のけむりはげしき焼藷屋 津久井健之 第243号
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2011-12-25
週刊俳句2011年アンソロジー 68人68句 テキスト版
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