2012-11-04

後記+プロフィール 289

後記 ● 上田信治


「2012落選展」をお送りします。

4作の一次予選通過作品を迎えられたことは嬉しいことではありますが、それも含めて、いずれも「力作」揃いであることが、なによりも嬉しくありがたい。

応募者各位に、ありったけの敬意を込めて、御礼を申し上げます。



いま申し上げた「力作」の「力(リキ)」は、こういうとき編集者の使いがちなルーティン的な修辞ではありません。男性っぽい言い方に照れつつ言ってしまうのですが、いずれも、作者それぞれが「勝負を賭けた」「腰の入った」50句であるということです。

なんとなれば、毎度申しますが、50句まとめてここで発表してしまうというのは、損得づくではできないことです。他で使うあてがあるというのは、全くもっともな理由で、どなたにもそうする当てはあるでしょう。

では、なぜ、この22人の方が、あえて、そうせず、ご応募下さったかというと、それは「ご親切」なんだと思うんですよ。「書きもの」に本質的な、誰かが喜んでくれればいいな、という親切心。

公募の賞の「獲れる/獲れない」は、私たちの「俳句人生」(ああ、今回の後記は「 」カッコばっかりですねw)を、一変させる可能性があることで、そこには基本的に、宝くじを買うような射幸心があることは否定できません。

しかし、それに先行するバクダイな親切心というものがある。

自分たちの書いたもので大いに誰かがよろこび、さらには(自分の人生だけではなく)俳句というものの風景までが一変したりするんじゃないか、それは誰にとってもいいことなんじゃないかという、ほとんど非現実的な期待、非現実的な親切が、賞に応募するということには含まれていると思われてならないのです。

そういう、言ってしまえば愚かしい、バカが全力で見る夢のような「力」が込められたワンパンチというものが、ここに集結しているのだ、と。

逆に言えば、全力過ぎて、普通に考えたら賞は獲れないよねッ!と互いに肩をたたき合うくらいの、気持ちのよい作品ばかりです。

だってねえ。全力を出すのは、楽しいですから。



というわけで。

22作、いっぺんには読めない量ですから、ちょこちょことでもお読みください。できれば、全作品に一度でも目を通していただければ、私たち、浮かばれます(自分も応募してるんで)。

去年の、田島風亜さんみたいな、ノーマークのジョーカーの出現があるかもしれないですしね。



次号以降、「鼎談「落選展を読む」」「落選展ピックアップ」「角川俳句賞「俳句」掲載作品を読む」等の企画が進行中です。

ぜひ、お楽しみに。

あ、だいじなことを書き忘れてました。

各作品にぜひ、ご感想をお寄せ下さい!!

ご感想は、各作品のコメント欄にお書きこみ下さい。



それではまた、次の日曜日にお会いしましょう。



no.289/2012-11-4 profile


2012落選展・出展者プロフィール ≫こちら

■小川春休 おがわ・しゅんきゅう
1976年、広島生まれ。1998年「童子」入会。2009年「澤」入会。現在「童子」同人、「澤」会員。句集『銀の泡』。サイト「ハルヤスミ web site

■野口 裕 のぐち・ゆたか
1952年兵庫県尼崎市生まれ。二人誌「五七五定型」(小池正博・野口裕)完結しました。最終号は品切れですが、第一号から第四号までは残部あります。希望の方は、yutakanoguti@mail.goo.ne.jp まで。進呈します。サイト「野口家のホーム ページ

■上田信治 うえだ・しんじ 
1961年生れ。「ハイクマシーン」「里」「豆の木」で俳句活動。共著『超新撰21』(2010)。ブログ「胃のかたち」

 

2 件のコメント:

  1. 【御礼】
    なにより、
    発表の場を提供していただき、
    ありがとうございました
    多くの人に読んでもらえるのは
    作者として最大の喜びです

    また、
    多くの同業者の句をまとめて読めるのも、
    勉強になります
    ありがとうございました

    と、書いてみて、
    いかにも月並、紋切型なのに驚きます
    しかし、
    他に書きようもないのでこのままに、、、

    いや、待て待て、
    俳人なら、挨拶句ですよね


      雁金の枝を落せる浜と聞く  ハードエッジ 2012.11.7 (水)


    本日、立冬ではありますがご容赦
    以上

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  2. もう1時間少々で
    次号「鼎談「落選展を読む」」が
    アップされます
    後出しジャンケンは避けたいので
    私の注目句を感想抜きでアップしました
    追々、感想も追記していきます

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