2013-02-17

10句作品テクスト 皆川 燈 千年のち

皆川 燈 千年のち

煙るような目をしていたり梅咲いて

寒夕焼から国境がこぼれおちる

日本水仙ささやくときは首くいと

東風に吹かれて薄薔薇色の墓の辺へ

はずんで孤独いつまでもシャボン玉

水温むと今日エウロパより便り

巣立ったら槐の枝へ行くつもり

﨟たけて千年のちも苦蓬

かげろいて手を振りあいて同胞(はらから)

記憶夢淡きもののみ咥えくる

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