【週俳1月の俳句を読む】
姉妹の名野口る理
うろうろす読初の書に指挟み 小川春休
特にすることもないのに落ち着かない新年の気分。
せっかく読み始めた本に集中できず、その辺を「うろうろ」。
本に挟んだ「指」のあたりに広がる本の世界と、
挟んでいない指のある現実の世界とをも「うろうろ」している。
初夢のひと筆書きのやうなもの 津川絵理子
夢はいつも一息だ。目覚めは息継ぎに似ている。
「ひと筆書き」のなにかではなく「もの」というぼかし方、
そして、初夢「の」という措辞が絶妙で、
ただどこまでもなめらかなひと筆書きの線の余韻が残る。
すずなすずしろ姉妹で眉を剃りおとす 鳥居真里子
「すずな」と「すずしろ」は姉妹の名のよう。
きっとひそやかな声で話し、ほっそりとした指を持つ二人だ。
眉毛を剃り落としてつるんとした顔が、
淑気の中で涼やかに輝き浮かび上がってくる。
第298号 2013年1月6日
■新年詠 2013 ≫読む
第299号 2013年1月13日
■鈴木牛後 蛇笑まじ 干支回文俳句12句 ≫読む
●
0 件のコメント:
コメントを投稿