蕨狩ゆくか豚決めかねてゐる
豚の裏庭の春菊どれも春菊
遅き日の豚の求める切符かな
客船の豚へ大きな春の月
あかるさは葉桜向かふみずの豚
ビールそれから化石談義の豚の夜
つながつてゐるげんのしようこと豚と
何もかも豚の死ののち枝払ふ
この国に梅干豚は本気なり
柿青きあたりに豚の秘密基地
だんまりの豚に葛切はこばるる
ただ一度のことなり豚が虹渡るは
馬鹿らしきまでの大夕焼が豚に
豚およそよけざるものと秋の蛇
もう豚は根釣の姿勢ととのへぬ
敗荷に豚乗るを賭けてもよいが
跳べば届く柿のことなど豚言ひぬ
豚に既視感渡り鳥ゆくときに
はるかな先に豚がまだ見ぬ榠樝の実
豚思ひつきり冬林檎投げる景
豚たどりつけざる冬の長い橋
或る豚の一日絵本みかんぬりゑ
どこをどうまちがへ豚の雪見舟
豚叫ぶときやや動く冬の石
初夢の豚逃げきつたかに思へたが
豚思ひとどまる先の氷柱かな
冬芽あかるく豚がくちづさむ歌
豚が身を投げて測りし春の闇
もうこれでいいのだ豚の花見酒
感謝して春の木馬を豚降りぬ
0 件のコメント:
コメントを投稿