【八田木枯の一句】
帰省子に石鹼淡く減りゆきぬ
西村麒麟
帰省子に石鹼淡く減りゆきぬ 八田木枯
『鏡騒』以後。
帰省子は特別可愛いものです。少しの期間実家(田舎の方がより感じが出るかもしれません)に帰って、ただごろごろしている我が子を、これを食べよ、あれも食べよ、ささ、お風呂に入れ、と年老いてゆくばかりの家族が、愛情べったりにもてなしてくれます。
帰省子は薄情でもあるので、やがて田舎は退屈だとつまらなそうに過ごすようになり、休みが終わるとまたいきいきと東京さに戻って行ってしまいます。その後田舎に残された家族は、いつも通りの静かな生活へと戻ります。
淡く、楽しく、少しかなしく、帰省とは、そんなものです。
そんな感じがこの句にはあり、見つめていると、少し切ない。
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