第494号 雑居ビル
西原天気
二階へと上る階段の奥の暗がりのそのまた奥に、どんな場所を想像するか。ミステリー好きなら、しがない探偵事務所。博打好きならフリーの麻雀荘(闇カジノの立地には似合わない。やはりマンションの一室、あるいはさらに物語的・映画的にするならナイトクラブの奥の一室)。骨董好きなら、路面店には見られない、あやしすぎる品揃えの骨董店。女性好きなら、その手の店。
再開発が進むと、雑居ビルはなくなっていきます。なにしろ消防法では「複合用途防火対象物」。つまり火事になると、やばい建物。そうでなくとも、こうした猥雑な場所をきれいに整理して、大きな洒落たビルを並べるのが再開発ですから、大げさに言えば、絶滅危惧種。
2020年東京五輪に向かって、雑居ビルの消滅が加速していきそうです。
ただし、この写真は東京ではなく、大阪・新世界。五輪からは遠い場所で、いつまでも残ってくれそうであります。
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