道はみな空に靡けり年の暮
太田うさぎ
道はみな空に靡けり年の暮 八田木枯
『鏡騒』(2010年)より。
仕事納めも無事済んで正月休みに入ったビジネス街を歩く。ふだん見慣れた景色がどことなく清浄感を漂わせている。立ち並ぶビルは念入りに清掃され、玄関には立派な門松。でも、その為ばかりではない。歩を運ぶうち、ああそうかと気づく。車も人影も頗る少ないのだ。
道路は彼方まで見渡せて、その果てに空が広がっている。まるで空から伸びて空へ吸い込まれていくようだ。一年もまたこんな道なのかもしれない。すべての道を空へ収めて、間もなく新しい年が来る。
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