【句集を読む】
首を打つ
ふけとしこ『眠たい羊』の一句
西原天気
向日葵の首打つ雨となりにけり ふけとしこ
花でも葉でもなく首を打つというのだから、どうしても打ち首(斬首刑)のイメージが脇から響いてくる。
おまけに、向日葵だから、
向日葵や信長の首切り落とす 角川春樹
も連れ添うように響いてきて、掲句にバロックな趣きが加わる。
いっけんすんなり見たままを詠んだようでいて、多声的(ポリフォニック)な仕掛けが凝らされて、愉快。
下五「なりにけり」の古格めいた処理も、オーソドックスを装うに効果的。
ふけとしこ『眠たい羊』2019年7月/ふらんす堂
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