2023-10-29

中矢温ブラジル俳句留学記 〔13〕サンパウロ人文科学研究所での実践活動①「トビタテ!留学JAPAN」に背中を押されて

ブラジル俳句留学記
〔13〕サンパウロ人文科学研究所での実践活動①「トビタテ!留学JAPAN」に背中を押されて

中矢温


※今回の記事は9月初旬に執筆した記事であるが、リリースが二か月ほど遅くなった。

9月に私はかねてより計画していたボランティア活動を開始することができた。ブラジルに渡った日本人移民の資料整理に関する活動で、受入機関はNPO法人サンパウロ人文科学研究所(以下、人文研)である。
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一回目の訪問時に、長く人文研を支え、現在理事を務めている細川多美子さんと坂口律子さんにお目にかかり、活動内容や頻度をご相談した。当日夜の月例会議で保久原淳次ジョルジ理事長や他の理事の皆様にもご挨拶させていただいた。

と、ここまで固く書いてしまったが、人文研は温かい雰囲気で、以降のびのびと活動している。活動の日はほぼ毎回何かしらおやつとコーヒーを出してくださり、加えてお二人は自炊の私の健康を心配してよくおかずを持たせてくださる。歓迎会も開いてくださった。

そうして私の活動日は、毎週火曜日と水曜日の14~18時(開館時間は平日の14~18時)を基本とすることになった。因みに人文研は「ブラジル俳句留学記」の第五・六回のリアナ・ナカムラさんの詩集刊行イベントと、第七回の全伯俳句大会の実施された文協内にあるため、私にとって文協はすっかりなじみの建物となった。

実は学部一年生の2018年時点で、人文研のホームページを眺めては、「いつか人文研で資料閲覧をしたい!」と思いを募らせていた。しかし、資料閲覧だけでなく、より一歩踏み込んで資料整理のボランティア活動を計画したのは実はここ一年間のことで、「トビタテ!留学JAPAN」(以下、トビタテ)という官民協働の給付型奨学金の応募機会を活用して構想した。トビタテの詳しい説明は公式ホームページ にお任せしてここでは割愛するが、私はトビタテ15期生にあたる代である。

10月11日には来年度の留学に向けて高校生9期、大学生16期の応募の募集要項がリリースされた。応募を決めてから約一年が経ったかと思うと感慨深い。

この奨学金応募にあたっての懸念は、ボランティア活動等の何かしらの実践活動が必須であることだった。実践活動を自由に計画できることに心躍らせつつ、「私なぞを受け入れてくださる機関をブラジルで見つけられるだろうか」という不安に苛まれていた。そんな不安を抱えながらも実践活動の相談を差し上げた際に、受入許可をくださったのが人文研だったのだ。(人文研の日本支部とブラジル支部が連携し、早々に受入許可をくださったことで、応募時の書類審査と面接審査の際も、自信をもって自分の計画をアピールすることができた。)

今回の記事は、これまでの留学経験の振り返りというより、これからの経験のための準備の記事としたい。トビタテの応募書類に付した題目は次のとおり。

「紙ごみ」なんて言わないで!ブラジルに眠る日本人移民の百年の俳句資料―保存とその活用―

まず「紙ごみ」という言葉は本好きであろう読者の方々にとって、大変衝撃的な言葉かと思う(俳人は往々にして本の虫である)。しかし皆さんのなかに私物整理や遺品整理にあたって、日記や本を思い切って、あるいは泣く泣く手放してしまった経験をお持ちの方はいないだろうか。例えばあなたが若き日の葛藤を綴った日記は読み返すのも恥ずかしい「紙ごみ」に見えるかもしれないが、ある人や機関にとっては、あるいはずっと未来においては、ある時代を生き抜いた一人の人間の心情を克明に綴った資料という「宝」かもしれない。実はブラジルの日系社会においても同様の現象が生じていることが推察される。移民一世から二世三世四世五世へと世代が下るにつれて、日本語は家庭内言語ではなく、教養の一環となり、後天的に学ぶ言語となりつつある。更に資料たちも歳を重ね、古ぼけたり色褪せたり、ある意味で「紙ごみ」らしい風貌を備えつつある。しかしそれらを「宝」と捉えて、受入・保存・活用を行なって来た機関(例えば人文研)があることの認知度が高まれば、散逸や廃棄の危機を乗り越えることができるのではないか、更には資料が物語る家族史ごと後世の日系人たちが自分の来歴をより肯定できるのではないか。つまるところ、私は断捨離という言葉が好きではないのである。

さて、トビタテへの応募・採択の有無にかかわらず、人文研には足繫く通っていただろうが、恐らく応募をしなかった場合、私は人文研のことをただただ素晴らしい資料室と見做してしまっていたことだろう。念のために申し添えるが、この記事は資料閲覧のみを希望する来館者を否定する意図は勿論全くない。

ここまで書いているうちにメトロが最寄り駅に着いてしまったので、人文研での具体的な活動内容は次回記事に譲るとする。

渡航前にパソコンに貼った
トビタテのステッカー(非売品)。
どこか薄汚れてきてしまった。

ポルトガル語版(escrevi o resumo no português sem revisão gramatical)

De meia de setembro, comecei trabalhar como voluntario no Centro de Estudos Nipo-Brasileiros ( CENB ). ( https://www.cenb.org.br/ ) Fica em Bunkyo no Liberdade.

Senhoras Tamiko Hosokawa, Ritsuko Sakaguchi, os membros do conselho da administração, me receberam e ensinam sobre meu trabalho. Na reunião online, consegui dar saudação para outros membros incluindo o presidente Jorge J Okubaro. Então, no 14-18 horas na cada terça e quarta, estou ali. Vocês têm que reservar antes de visitar, mas bem vindo, por favor.

CENB tem várias atividades, mas especialmente tenho interesse em o serviço como biblioteca.
Primeiro minha tarefa é verificar três mil livros comparando livros em estantes físicas e digitais. A coleção dos livros no centro é o montinho de tesouro. Posso manter ler sem descansar.

Os livros doados ocupam a alguma parte da coleção. Tenho medo sobre que os livros sobre nipo-brasileiros são deixados ou jogados fora na cada casa porque os livros dos seus avôs são velhos e sujos e porque é difícil entender conteúdo. Para alguém um livro é lixo, mas para outro ele é o tesouro.

Minha atividade no CENB é apoiada por essa bolsa de estudos; Tobitate! (Leap for Tomorrow) Study Abroad Initiative. ( https://tobitate-mext.jasso.go.jp/about/english.html )

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