2023-12-24

【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】レベッカ「ムーン」

【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】
レベッカ「ムーン」


憲武●スーパームーン、ブルームーン、スーパーブルームーン、ピンクムーン、ストロベリームーン、月の呼び名がいろいろ取り沙汰される昨今です。レベッカで「ムーン」。

 

憲武●この曲は1988年リリースのアルバム「POISON」に収録されています。作詞はNOKKO、作曲は土橋安騎夫です。MCに特徴出てますね。言ってることがよくわかんなかったり。「きゅううはぁー(今日は)」とか言ってるし。そこが魅力のような気もします。

天気●そうですね。MCは、個性的です。モノマネしやすそうなしゃべりですね。よく聞き取れない箇所も多々ありますが、これがライブの盛り上がりだと思います。。

憲武●ボーカルのNOKKOという人、「ラブ イズ Cash(1985)」という曲が初ヒットで、よく耳にしました。で、同じ頃、NOKKOはカー用品のCMに出てて、僕はあまりいい印象を持てなかったんです。とにかくうるさくて。「なんだ、コイツ?」みたいな。「ラブ イズ Cash」もマドンナの「マテリアル・ガール(1984)」みたいだし、「マドンナじゃん」って思って、積極的に聴こうとはしなかったんですね。そのうち消えるだろうとか思って。軽く見ていたと言いますか。

天気●ぜんぜん聞いたことがなくて、今回、ほとんど初めてです。このライブ、まず、音程が破壊力満点で、出だしでずるっと椅子から落ちそうになりましたが、これがライブなんだと思います。

憲武●音程も声量も破壊力ありますね。ちょっとズレてるくらいがいいのかもしれません。で、そのうち「フレンズ(1985)」という曲をよく思ったりしてるうちに、この「ムーン」を耳にして、何回かラジオなどで聴いてるうちに、この曲を好きになっちゃったんですね。中古盤でアルバムも買いました。この曲もマドンナの「Papa Don't Preach(1986)」に似てますが、その辺はもうあまり拘らなくなって。

天気●拘りは、なくていいです。音楽は「引用」です。

憲武●「ムーン」の詞ですが、10代のやさぐれた生活がテーマになってるようです。

天気●「娘は13になって盗みの味覚えて♪」とかありますね。

憲武●「月曜日が嫌い」っていうフレーズが出てきますが、これはThe Boomtown Ratsの「I Don't Like Mondays(1979)」が下敷きになってるようですね。この曲はアメリカで起きた16歳の少女による銃乱射事件がモチーフになっています。「ムーン」のPVには、やさぐれ感溢れる映像が出てきます。

天気●たしかに。

憲武●そしていつも月を意識していたという感じですね。これは僕の憶測ですが、詞の底にはアンデルセンの「絵のない絵本」があるのではないかと思いました。「絵のない絵本」は三十三夜から成る月のみていた話です。幼児向けの絵本などには「お月さまのみていた話」などというタイトルで、熊が子供たちの部屋に入ってきて、一緒に兵隊ごっこする話とか、何話か引かれています。NOKKOは、小さい頃よく童話などを読んでもらっていたかもしれませんね。

天気●調べてみると、このNOKKOという人、「人魚」という歌は聞いたことがあります。いい曲! と思ったら、筒美京平でした。

憲武●その曲、知らんかっとってんちんとんしゃん。「ムーン」は霊の声が入ってると言われて(PVでは2分13秒あたり。「センパイ」と聞こえる)騒がれた曲でもありますが、最近は録音技術がよくなっているのか、そうした話はあまり聞きませんが、今でも実はあるんでしょうか。気になります。 


(最終回まで、あと679夜)

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