【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】
Char「Smoky」
憲武●寒くなってきますと、なぜかロックギターが恋しくなります。というわけで、Char「Smoky」。
憲武●この曲はファーストアルバム「Char」(1976)に収録されてます。Char 自身の、いろいろな時期の、いろいろなバンドでもプレイされてる曲です。気に入っているんでしょうね。
天気●出世曲といっていいんでしょう。かっこいい曲。ギタリストがやりたがる曲で、大学の軽音で、ハードロックがもっぱらだった友だちが、この曲を弾いて歌いました。この曲自体は、ハードロックではないし、つまり、幅広いプレーヤーの心を動かした曲です。
憲武●フェンダーのムスタングがキマってます。
天気●Char=ムスタングという印象ですよね。とくに初期から中期。弦長が24インチと短い(フェンダーの他主要機種は25.5インチ、ギブソン社レスポールなどは、その中間の24.75インチ)。ショートスケールなので、マイナー・ナインスのコード型が押さえやすく、それでこの「Smoky」の出だしの部分が生まれた、というのが有名な話。Char自身がたびたびそれを語っています。
憲武●Char は演奏中に、よくボリューム・ノブをいじるらしくて、2020年に発売されたChar モデルのCharムスタングでは、ボリュームを調整しやすいよう、アームの真下くらいの位置、一弦のすぐ近くくらいのところに付いてます。
天気●良い習慣、良い演奏スタイルですね。頻繁に動かす人とそれほどでもない人がいる。習慣づけていないと、近い位置のノブは、思っていないときに動かしちゃう。巧いギタリストは、アンサンブルを考えて、自分のボリュームにすごく意識的です。
憲武●歌詞は、まあロック特有の、よくわからない内容の、「ロック」な歌詞です。いきなり、「スモーキー、お前は俺の空じゃない」ですから。高校の時、友達にアルバムを借りて聴いたんですが、好きな曲が結構ありましたね。
天気●聴いたことがないです。この曲だけ突出して有名で、よく耳にします。
憲武●ファーストアルバムは、「スモーキー」はもちろんのこと、「Shinin' you, shinin' day」「かげろう」「空模様のかげんが悪くなる前に」が好きです。Charは8歳でギターを始めて、11歳にはコンテストに入賞するくらいの実力のバンドを組んでましたから、相当な自信がいつでも伺えて、その低い声から発せられる発言は、とても魅力的でした。僕などはいまだに、自信らしいものが何もないので、余計に魅力的に見えますね。
天気●プレーだけでなく言動も一目置かれる。ミュージシャンズ・ミュージシャン、つまり同業者の信頼があつい。その最たる存在ではないでしょうか。テクニック面でもっとすごいギタリストはたくさんいるんでしょうが、存在感がね。
憲武●際立ってます。Char は1955年生まれですので、いま、68歳ですが新譜も出しましたし、ライブも精力的にやってます。6月には JLC(JOHNNY, LOUIS & CHAR)と PINK CLOUD のトリビュートライブもありました。来年は何をやるのか、期待したいです。
(最終回まで、あと681夜)
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