2025-04-27

【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】秋山竜次「関係者~ぼくにもなれるかな?」

【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】
秋山竜次「関係者~ぼくにもなれるかな?」


天気●秋山竜次という芸人さんは、職種(クリエーター)のパロディ芸がなかなかにシニカルで、面白い。それで笑うってことはあまりないんですが、そういうオチョクリの姿勢は大事だと思ってるんです。で、歌も唄っていて、それを聴きます。

 

天気●ゆったりしたノリのソウル/R&Bっぽい音で、気持ちがいい。歌唱も達者です。

憲武●確かに聞いてて快適です。

天気●「関係者」って、考えてみると、興味深いカテゴリーで、あるイベントで、出演者やスタッフとは違う、来賓/招待客とも違う。なんなんだろうと思いますが、画定させずにふわっと排他しておきたいときに使うのかもです。

憲武●うちの会社の正門にも「関係者以外立入禁止」と書かれた三角立て看あります。私は関係者なんです。

天気●正真正銘の「関係者」ですね。この場合、そこに用事がある人という括りですね。

憲武●国際基督教大学は緑がいっぱいで鬱蒼としてて、入ってみたいと思ってるんですが、正門に「関係者以外立入禁止」とプレートが立っているので、「むむっ」となります。

天気●これはちょっと難しいケースがあるような。卒業生はどうなんだろう? とかね。してみると、この歌にあるコンサートなどのイベント以外にも、いろいろな使い方がされますね。芸能人/有名人が不祥事を起こしたときの謝罪文、あるいは、ビジネス上の不手際へのお詫びもそうかな?

憲武●関係者各位とかいう文面で始まりますね。

天気●直接の被害者だけでなく、「関係者」にもお詫びしたりする。これなどは、相手をはっきり画定/限定しない、怒ってる人全員に頭さげてますよ、といった処世なんでしょう。ともかく、「関係者」って、なんだかヘンテコリン。だけど、世の中そのもののような概念だなあ、と。

憲武●関係者は複数を想定されてるんですね。境界が曖昧ですね。

天気●こういう「関係者」にまつわるさまざまは、これまで歌になることはなかった。その意味でも、この歌、意義深いんじゃないでしょうか。 

(最終回まで、あと614夜)

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