2025-06-22

岸田祐子【ビール俳句】泡と液体

【ビール俳句】
泡と液体
★奈良醸造/LIGHTHOUSE/Micro Porter/アルコール度数3.5%

岸田祐子


ビールの泡については、一家言持っている人が少なくない。泡と液体の比率は3:7が良いとか、きめ細かい泡となる素材のグラスとか、良い泡を作るための注ぎ方とか、泡にまつわる話題をよく耳にする。一方、泡は不要という人も結構いて、海外からの旅行者が、ビアパブで「泡はいらない」と言っているのを見かけたことがある。ちなみに私も泡はいらない派。泡の分もビールを注いでもらえる方が嬉しい。だから、家で飲む時は、泡を立てすぎないよう注意深く注ぐ。ただ、ナイトロ仕様のビールは別で、これは盛大に泡を立てたい。

ビール注ぐ泡盛り上り溢れんと 高濱年尾

奈良醸造のLIGHTHOUSEは、アルコール度数が3.5%のナイトロ仕様のMicro Porter。ナイトロとは、とろっとしたクリーミーな泡が特徴のビールのことで、ギネスが有名だ。一般的なビールは、二酸化炭素が注入されているのだけれど、ナイトロは、窒素が注入されている。窒素は二酸化炭素に比べ分子が小さいためクリーミーで口当たりの良い泡となる。また、注ぎ方にもコツがあって、まず最初に振る。それから、缶をグラスに突き刺すように垂直にして一気に注ぐ。そうすると、わーっと盛り上がった泡が、滝(カスケード)のように落ち、波のようにうねる。この現象を「カスケードショー」と言う。「泡盛り上り溢れんと」とあるから、この句の人もカスケードショーを見ているのだろう。細かい泡が滝のように落ちてゆく様子は、いつ見てもうっとりする。

ヘーゼルナッツのプラリネが入ったチョコレートみたいな味のLIGHTHOUSEは、3.5%という軽さに反して、しっかりした味わい。Micro Porterというスタイルは初めて聞いたのだけど、どうやらアルコール度数の低いポーターのことらしい。ちなみにポーターとは、イギリス発祥のスタイルで焙煎した麦芽を使った上面発酵の黒ビールのこと。荷物を運ぶ労働者(ポーター)に人気があったことからポーターと呼ばれるようになったと言われている。ただし、こちらも諸説あるようだ。






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