2025-07-06

岸田祐子〔ビール俳句〕見飽きない

〔ビール俳句〕
見飽きない
★Guinness & Co./GUINNESS/Stout/アルコール度数4.5%

岸田祐子


生ビール泡流る見て愉快かな 高濱年尾

俳句を読む限り、高濱年尾の好みのビールスタイルは、ナイトロだ。年尾はホトトギスの2代目の主宰で、私はホトトギスの誌友だけれど、結社にいても虚子に比べてエピソードを聞く機会が少なく、なんとなくその人柄はベールに包まれている。ただ、年尾がナイトロを詠んだ句を二つ見つけてから、俄然親近感がわいた。実は、手元にある虚子編の新歳時記には、ビールは載っていない。ビールがいつからホトトギスの歳時記に加わったのか、調べてはいないのだけれど、虚子選の雑詠選集にもビールの句はなかった。

この句は、「泡流る見て愉快かな」と言っているので、やはり泡に特徴があるナイトロビールのことだろう。また、「生ビール」として、お店でタップから注がれるビールに限定している。ナイトロでドラフトといえば、やっぱりギネスだ。ギネスのホイップクリームみたいな泡が盛り上がって流れるのを見るのは楽しい。また、シャムロックと呼ばれるクローバーの葉っぱの絵を、泡の表面に描いてもらうこともできる。シャムロックを描いてもらえるのは、ドラフトのギネスならではで、同じギネスであっても、缶の泡では描けない。

先日、ホトトギスの友達がスコットランドのウィスキー醸造所を巡った時の写真を見せてくれた。メインはウィスキーなのだけれど、ちょいちょいパブでビールも飲んでいる。そのどれもが全部、美味しそう。彼女に影響を受けて、東京にあるアイリッシュパブに行った。バーテンダーのなめらかな動きから、ギネスのクリーミーな泡が生まれる様子は、いつ見ても、いつまで見ても、見飽きない。



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