【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】
山本リンダ「きっとまた」
天気●9月だというのに暑い日が続いているので、ボサノバもいいかなと。山本リンダ「きっとまた」(1974)です。
憲武●お洒落な感じで、いいですね。
天気●この人は2017年7月に「奇跡の歌」というゲテモノの極みのような曲を取り上げたのですが、この「きっとまた」は、ゲテモノではありません。ウェルメイド。歌唱も、いつものオドロオドロしいのとぜんぜん違って、あっさりしてる。アナザー・サイド・オヴ・山本リンダです。
憲武●山本リンダの違う一面を見た思いのする楽曲ですね。
天気●アレンジに新味はありません。いかにもボサノバ。楽器の構成も鳴っている音も聞き覚えがある。でも、それでいい、それが気持ちいい。
憲武●ボサノバというと、アストラッド・ジルベルトを思い浮かべたりしますが、抑制的で平坦な印象の歌唱がボサノバ的ですね。
天気●とにかく、バックの音が、よく出来ています。手練れのスタジオ・ミュージシャンなんでしょうね。
憲武●フルートの音色って、記憶に残りやすい感じがします。例えばカーペンターズの楽曲の中で使用されているフルートの音色ですとか、井上堯之バンドの楽曲で使用されているフルートの音色をよく思い出します。
天気●「闇夜にドッキリ」というドーナツ盤のB面。B面は、セールス/売れ線からはずれたところも行けるという事情もあるのでしょう、意外にいいのがあたったりする。買ってみるもんだなあと思いましたよ、当時。
憲武●この曲、51年前の曲なんですが、古さを感じさせません。いまどこか洒落たカフェの中でかかっていたとしても、充分新しく聞こえると思います。
天気●まだもう少し暑いんでしょうか。そろそろ外を散歩したりしたいですよ。
(最終回まで、あと596夜)
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