井口吾郎回文俳句100句
ほぼ製造年月日順 選:さいばら天気
右翼らの招きしキネマの落葉
つまんねえ恋スイスイ超え年末
ポポンタポポンタタンポポタンポポ
ザンギリ頭あり蟻あまたあり銀座
腰決めてスイカ買い捨てメキシコ
ダミア虚し明日も素足南無阿弥陀
優曇華のかくも寡黙かの言動
日の丸の湿り栗飯ノルマの日
キスする感じかな家人刈る芒
天馬老いらく墓碑僕らイオマンテ
羊歯しかないのだ飛騨の田舎仕出し
馬鹿なるはサイコな恋さ春なかば
感動す長閑に角の素うどんか
ひなげしという兄に逢う愛しげな日
晒し墓張り出すダリは蚊柱さ
まだ眠らないはずハイなラムネ玉
胡桃あるかもね姉もカルアミルク
水仙花死んだら談志完成す
子規よ哀しむな舟虫仲良き死
水仙はトホホフホホと反省す
蝉のメカ止まるカルマと亀の店
買うといけない買うかいな鶏頭花
巷では新月幻視派で田町
マルクスがうそ寒誘うガス車
夜なべ食べなこの茸鍋食べなよ
旅の花病んでオデン屋名はのび太
ウクライナ鴎の眼も家内ら喰う
寒凪やごついドイツ語山羊なんか
今日もまた燗でオデンかタマも老け
三鷹の外科トボトボ蜥蜴の形見
金星は西向き無私に敗戦記
新世界出迎えムカデ以下戦死
人災だ痴漢ハンカチ大惨事
帝都に茸籠過去の樹に問いて
照り葉デモクラシー白雲で張り手
歌留多絵も暫し端々燃えたるか
ゐのこづちまさか逆さま千鶴子の胃
裏も見よゴルフの古暦もらう
井口楽しむ寒さ無視の立ち食い
区は練馬かいな花烏賊マリネ吐く
加藤がね西日浴び死に願うとか
生太陽よい太陽よい玉菜
鴎外往診天使魚胃が魚
支那勝てり蒲の穂の曲がりて悲し
原爆忌Fの音の笛聴く晩餉
伊賀踊り子に会う兄コリドオ街
田舎の区議らしく白菊の家内
千葉邸に鰐臭く庭に凍蜂
熊に勝ち初風呂ブツは地下に撒く
軽くニクソン笑む遠足に来るか
春寝るずるずる寝るずるずる寝るは
古池や蝉飛ぶと見せ夜景流布
肝機能ようこそ紅葉の金貨
トンボの遺体へ歩兵隊のボンと
死せる月が武士と渋柿吊るせし
文化の日生け垣が経費の幹部
生糸の絵に浪漫マロニエの吐息
凌ぐパンが凍て果て胃がんパグの死
けったいな決まり襟巻き泣いたっけ
二胡奏で鼻風邪かな派手な過去に
白蜘蛛来て蜘蛛の目的も黒し
蜂のお尻和風ふわり塩の地は
麦の芽よ余技よ代々木よ嫁の義務
イマジンからスキヤキすら感じまい
自分史に書けぬ間抜けか鰊無事
冬帽もキスも屁も好き孟母言ふ
狐の回文千部以下の値付き
余寒あり丸井にいるマリアンかよ
チチと夜鳴く南京泣くなよと父
故意かインサイダー第3位蚕
時計手に死にたい田螺煮ていけと
ロダンな春ひらひら昼は何だろ
夜勤ですか菫見透かす電気屋
税なくすここらふらここ少ないぜ
関西に寂し馬酔木さ兄さんか
読みてえか花守も名は変えてみよ
紫の母の日の母軒去らむ
仇も滴も五目寿司も来たか
留守盗らむラムネ姉むらむらとする
遠く長い匙紫陽花が泣く音
ループタイ解いて地底といたプール
筋肉や素足カシアス役人気
海水浴乙女と置くよい西瓜
白菊や野にある兄の薬切らし
胡桃は西向き泣き虫にはミルク
ビスなき明日サルトル挿す秋茄子
抱きついた下男ぶん投げたい月だ
師走かな電気力んで泣かすわし
手に仮名の遺言りんご胃の中にて
白魚に地の息命匂うらし
嘘見透かされは哀れさ霞草
任天堂からリラ買う曇天に
スカなメカガムとアトムが亀鳴かす
亀鳴きてすごい介護素敵なメカ
怒る真実が四月尽知るかい
その医師はゆるり借りる湯端居の祖
白百合の退部ドブ板乗り揺らし
よいバナナ位牌礼拝七倍よ
虹の地は西が東に八の字に
睡蓮へ電車写真で返礼す
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