2007-08-12

真夏の出来事 前口上

前口上    さいばら天気



毎年7月、「俳句強化月間」と銘打って一日十句。この営みを中嶋憲武さんは1999年から続けているという。最初の年はノート、次の年からはパソコン、さらにはみずからのBBS(インターネット掲示板)に書き込むようになって人目に触れるようになり、そして昨年からはミクシィ(閉所式交換日記サイト)がその舞台となっている。

今年の7月1日、ミクシィに書き込まれた憲武さんの十句を見て「ああ、また始まったな、夏の風物誌」と思いつつ、なんの気なしにそのイベントに便乗した。私も「一日十句」を始めたのだ。

7月の31日間、憲武さんはきっちりとペースを守って「一日十句」をこなした。さすが、歴史が違う。思いつきで始めた私は、その日には間に合わなかったりしながらも、なんとか31日まで漕ぎ着けた。その間、お互いの十句に「選」のようなものを残した。

7月が終わろうとする頃、これを図々しくも「週刊俳句」に載せてもらおうと思い立ち、信治さんに相談した。さぞかし困惑されたことと思うが、「まあ、いいだろう」と了承いただいた。当初は310句のなかから10句程度を選ぶつもりだったが、信治さんのアイデアで、どうせなら一日一句ずつ日記風にしてしまえ、と31句ずつを並べることになった。

この31句は、自選ではなく互選である、つまり、憲武さんの31句は私が選び、私の31句は憲武さんが選んだものだ。日々互選を済ましていたから、記事にまとめるのは楽だった。「自選」という最も厄介な所業から逃れられたことも大きい。

この互選というスタイル、本人たちにとって、もうひとつメリットがある。責任をなすりつけ合える点である。「つまらない31句だ」と退屈したなら、どうぞ、それを作者のせいと考えないでいただきたい。「選」が悪いのだ。

なお、一日二句の下に、その日の出来事を付したが、このアイデアに憲武さんは、「こうしてみると社会派俳句に見えてくるから不思議だ」と、例によって軽くボケてくれたので、「見えない見えない」と軽くツッコんでおいた。



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