2007-10-14

落選展へのいざない 上田信治

落選展へのいざない ……上田信治



1863年、皇帝ナポレオン3世は、サロン(官展)の選考に対する不満と疑問の声に応え、アカデミーに命じて、落選した作品を集めた展覧会を開かせました。マネの「草上の昼食」が「なんで、この女、ピクニックに来て裸になってるんだ?」というスキャンダルをひきおこした、つまり印象派誕生前夜のトピックとして、歴史に名を残す展覧会です。通称「落選展」。

2006年、ハイクマシーンHP上で、ハイクマメンバーと、その呼びかけに答えた人たちが、同年の「角川俳句賞」「俳句研究賞」への応募作を公開しました。そこに「落選展」の名前を冠したのは、開き直りと、ささやかながらも、事件たらんとする望みがあったからです。

選考に対して、自分が落ちたことを除いては、特段の不満や疑問があるわけではありません。公募賞の選考にまつわるあれこれについては、あらかじめああいうものと承知して、それでも、何ごとか為すことの吾にあらん、と応募をしています。落選作を並べることで、選考の当否を問うつもりなど、ありません。そんなのって愚痴ですからね。

そんなことより、50句を、50句丸ごと、読者の前に供することができるのは、この機会をおいてありません。応募者諸兄においては、そこをご考慮いただきたい。

50句という句数は、作家性がそこに露呈するのに十分な句数です。この句数があればこそ、総合誌の新人賞が、多くの俳句愛好家にとって見逃せないイベントになっている。総合誌の巻頭作品50句を、書ききることのできる作家が何人いるか。いや、それ以前に、生涯にいちどでも50句の注文が来る作家が、何人いるか。それを思えば、50句をばらして、結社の句会等に小出しにしている場合ではないのであります。

当誌への応募〆切を、10月22日としたことも、ぜひご理解いただきたい。

総合誌の新人賞による評価ならびに栄誉は、受賞者がその過半を得るのは当然ですが、いっぽうで、それは一次予選通過、選考委員による言及、当該誌への作品掲載などのかたちで、小分けして分配されます。そして、それは、10月25日の『俳句』誌発売日に明らかになる。

しかし、それら小栄誉の行方を確かめることよりも先に、作品を読者のもとにとどけることを優先しようという方と、この場を共有したい。これは編集部のわがままです。つまり、その「出る前に飛べ」と、申し上げたい。

応募作が『俳句』誌に予選通過作として掲載された場合、発表の時点で別途検討し、応募者の不利益にならないように配慮します

ぜひ、ふるって、ご応募を。

→応募要項



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