後記＋プロフィール 031

後記　　さいばら天気

むかし（学生の頃です）おかしなボードゲームにハマりました。「人生ゲーム」（タカラ）のようなスゴロク。歌手としてデビューし、紆余曲折があり、最後は成功を収めるか無残に散るか。友だち数人で集まり、大騒ぎで遊びました。

デビューが近づくと、芸名を決めます。これはゲームのルールにはなかったと思いますが、芸名がなくては「感じ」が出ません。各自、自由に決めることにしました。酒好きの女友だちは「賀茂鶴さやか」と宣言。これはかなりウケた。

次は、デビュー曲です。これは自由に選べません。数十枚のカードが2セット用意されていて、そこからトランプを引くように、1枚ずつ引きます。はじめのカードの山から引いた1枚に記された言葉が、デビュー曲の曲名の前半、次の山から引いたカードに記されているのが、曲名の後半。

書くとややこしいですが、簡単なしくみです。「霧の」というカードと「さようなら」というカードを引いたら、デビュー曲は「霧のさようなら」に決まります。つまり、偶然が曲名を決めてくれるわけです。

繰り返し遊べば、いろいろなデビュー曲が誕生します。「ありそうな」曲名もあれば、「これはさすがに無理がある」という曲名でデビューしないといけないケースもある。

今でも憶えている傑作は「気楽な花嫁」。

なんか、よくないですか？　「気楽な花嫁」。

「とんでもない」と「なんだかわかる」のちょうどいい具合の中間。どんな作詞家も企画会議も思いつかないタイトルのような気が、今でもします。

それでは、また、次の日曜日にお会いしましょう。






no.031/2007-11-25　profile

■加藤かな文　かとう・かなぶん　
1961年愛知県生まれ。ずっと愛知県に居住。1993年「槐」入会、2001年退会。2001年から「家」（代表・児玉輝代）の編集発行人。句集・著書なし。

■茅根知子　ちのね・ともこ　
1957年東京生れ。1999年「魚座」入会。2007年より「雲」同人。第4回（2001年）「魚座」新人賞。第15回（2001年）俳壇賞。句集『眠るまで』（本阿弥書店）。俳人協会会員。
■斉田 仁 　さいだ・じん
1937年群馬県高崎市生まれ。1971年「麦」入会。現在「麦」同人、現代俳句協会会員。句集に『斉田仁句集』（1982年・八幡船社）ほか。

■中嶋憲武　なかじま・のりたけ
1960年生まれ。「炎環」「豆の木」。1998年炎環新人賞。99年炎環同人。03年炎環退会。04年炎環入会。来年、二回目の同人。

■上田信治 　うえだ・しんじ　
1961年生れ。「ハイクマシーン」「里」「豆の木」で俳句活動。ブログ「胃のかたち」 http://uedas.blog38.fc2.com/

■さいばら天気　さいばら・てんき
1955年生まれ。1997年「月天」句会で俳句を始める。句集に人名句集『チャーリーさん』（私家版2005年）。ブログ「俳句的日常」 http://tenki00.exblog.jp/

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