ゑのぐの指 鴇田智哉
風上にゐて目の玉の冷えてゐる
とび降りてしまへば秋のゆがみたる
蚯蚓鳴くゑのぐの指を洗ひをり
秋の夜の赤いボタンを押してみる
芋虫のこもれるさまを空のなか
屋上に秋の蛹が横たはる
ひとときをとばし読みして風のいろ
草の香にあしたのことを思ひつく
月面が芒を過ぎてから見ゆる
十月の壁が染まつてきてをはる
月の山 久保山敦子
羽の国の羽毛のやうな鱗雲
新蕎麦や簾の外のよく見えて
ひと雨のあと十月の法師蝉
わがままを通すままこの尻ぬぐひ
舟唄の最上はよけれ新走り
蟹の罠しづめて岸の薄もみぢ
山寺は石の寺秋澄みにけり
天にあるごとき秋風五大堂
色鳥や家より古りし屋敷林
これよりの月太りゆく月の山
2007-11-04
第28号 2007-11-4 10句作品
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