生 姜 の 花 寺澤一雄
長き夜の終りて通勤電車かな
菊を見に隣のビルに入りけり
休刊の俳句雑誌や馬肥ゆる
手を上げる運動会の大玉へ
銀河系渦巻いてゐる渦の端
十六夜の鼻が詰つてゐるばかり
短しよ葉月初めの紅葉坂
長芋を千切りにして晩ご飯
大宮の駅前を見る夜寒かな
生姜から生姜の花を育てけり
円盤も槍も回転天高し
十月のビルの間に道のあり
三人が三人秋の黒日傘
夕紅葉進化の果ての足の指
長月のダチュラの種が手に馴染む
梨一つ冷されながら残りけり
桐の実枯れる地下鉄東大前
家にある旗は日の丸体育の日
残る蝿菊人形に寄つて来る
爽やかやビル夫々に影を持つ
松茸を写真に撮つてから食べる
台風に映画看板持ちこたふ
芋煮会勝手に河原使はれし
落ちたくなく落ちてゐる青団栗
九州の日の出は遅し小鳥来る
ビル街に夕暮近し栗の味
品川で運動会の話かな
曼珠沙華駅前飯店満州楼
富士塚を降り来て葭戸蔵ひけり
日本語を話せて読める秋思かな
2007-11-18
寺澤一雄 生姜の花 テキスト
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