2007-11-11

北大路翼自選三十九句 ひりひりと

北大路翼 自選三十九句
ひ り ひ り と



蜜柑剥く一人暮らしは精子の香

童貞諸君鰭酒はおまんこだよ

ひりひりと霜降りる夜の女陰の朱

男根を吸ふ雪解けのやさしさで

乳頭を齧る氷柱のきびしさで

果ては女体無限に続く蟻の列

男は手女は足を入れ炬燵

手袋が抱いて欲しいと応へをり

蜜柑剥く風俗求人欄ちらと

友のみ知る中絶の過去卒業歌

ポインセチア仕舞ひ忘れてゐる花屋

冴返る旧居住者の鏡かな
  玲奈へ
麗奈だと思うてゐたよ春うらら

シャッターを下す真つ赤な薔薇抱へ

二回目の豊胸手術梅雨に入る

石像にゐた蚊柱がついてくる
  五月二十四日ユースケの誕生日
古池に蛙飛び込み浮いて来ず

笑茸死ぬなと言はれても困る

銛だけが実物鮫の模型の背

毛虫焼く頭の中で蝶にして

合宿のはじまる冷やしトマトかな

ラグビー部の宿舎ぼろぼろ油蝉

夕立や女に戻るアスリート

全身を触覚にしてシャワー浴ぶ

うつとりとするほど巨根夏行きぬ

求婚やぐんぐん廻る風車

西瓜大好きゆいたんはもつと好き

俳人に愛されすぎて蜻蛉死す

貧しさの寄つてたかつてゐる炬燵

香奈ちやんを思うてマリエを抱く無月

簡単に口説ける共同募金の子

超キレイの超は言ひ過ぎクリスマス

空中に新郎新婦皿に牡蠣
  最愛の佳子へ
いつまでも待つ我は造花の牛膝

饒舌の水着流行色の黒

レモン浮くモデルルームの浴室に

年惜しむユミ・ちさ・京子・麻美・かおり

情交のあとのうつぶせ除夜の鐘

雪しんしん膣のぬくさの限りなし



















2 comments:

匿名 さんのコメント...

> 笑茸死ぬなと言はれても困る <

ははは。。
つばさくんもこんな真面目な句を作るんだ、、、
って、旧作よね。
季語は動くかな、って思うけど、案外これでいいかもしれない。俳人協会の誰かの名前が付いていても可笑しくないような句。
新宿駅の階段から落ちたときの後遺症はありませんか?

匿名 さんのコメント...

あ、コメントありがとうございます!こんな感じで気軽にコメントいただけるとありがたいです。

確か「笑茸」の句って実話だと思いますよ。

階段の後遺症かどうかわかりませんが、お酒は相変わらずたくさん飲んでるみたいです。