2007-12-09

暮らしの歳時記 牡蠣  山本勝之

暮らしの歳時記 牡蠣  ……山本勝之



浅草病院まで検査に出かける。朝はいい天気だったのに、浅草に着いたら雨がパラつきはじめる。寒い。

病院に行くと、途端に病人になったような気分になる。病院の廊下に、ずっと凝固してしまっている爺さんの姿を見かけても、気持ちがメゲる。看護婦さん、なんとかしてあげて下さい、お願いします。怖いよー。

問診のあと、またまた血を抜かれて血液検査。三日後にまたまた胃カメラを飲むことに決定。胃壁の組織検査、ピロリ菌の有無の検査もやってくださるそうだ、お代官様は。

雨の中、雷門の地下鉄の駅まで歩くが、平日の昼前ということもあって、浅草の街は深閑としていて、ますます気分が落ち込む。

朝から何も食してないので、温とい蕎麦でも啜ろうかと、六区の商店街をうろつくが、立ち食いか、観光客相手の値段設定出鱈目な蕎麦屋しかないので、ますます途方に暮れる。

しょうことなく「聚楽」に転がり込み「牡蠣フライ定食」¥820を食す。

窓の外を、通行人に小銭をしつこくせびるオッサンが行き来して、ついには車椅子の女性にまで付きまとい始めたのでひやひやした気分となる。

とっとと、牡蠣フライを嚥下して帰ってきたら、熱が出てきた。ああっ、寒い。


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