2008-04-06

第2回週刊俳句賞 岩淵喜代子 選と選評

岩淵喜代子 選と選評



03「life」 3点

中で一番粒揃いなのはこの作品でした。「かりがね」「耳も耳」「手の中」取り合わせの感覚の柔軟さ。そして、叙述的な表現の「手袋の」「春宵」の句も詩情があって全体に好感の持てる句が並んでいました。


016「昼の月」 1点

全体的に無理のない表現で詩情を感じるフレーズでした。ことに「蝋梅や蛇口に残る一雫」の取り合わせの妙に共鳴いたしました。かといって、「雨傘」の句のさり気ない叙述も巧いです。


017「多孔質」 1点

虚実皮膜の虚の強い句があるのですが、その虚、例えば「いつせいに埴輪の歌いだす良夜」が宜えることに点数をいれました。「神の名は多すぎないか」は意表を突かれてしまいました。秋の蝉がなんともいえない良い取り合わせです。


01「屋根」 1点

10句のそれぞれが、俳句の骨法を得た描写力のある作品が多かったことに、点数をいれました。ことに、渋滞の」「夕ぐれの」「桔梗」「カーテン」など。中で一番面白く感じたのは「壁の絵」の句でした。「野分」を絶妙に生かしています。


全体には、着実な取り組みをしようという意識の見える作品が多くて、多分たくさん作っていくうちに面白くなりそうです。





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