敗 色 豊 か 西川火尖
まだ朝の蟻を摘んでをりたるに
百日紅やはり稼がねばと思ふ
田水沸くいやにはつきり鳴るラジオ
熊蝉や弁当売り等集まり来
公園の便所日焼の眼を洗ふ
昼寝せん丈夫な川を思ひつつ
コンビニに団扇吊られて売られけり
日雷魔法瓶ン中氷だけ
夕立や動くもの熱源に帰す
へその緒や岸に赤潮来てゐたり
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2008-08-10
10句作品テキスト 西川火尖 敗色豊か
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俳句にまつわる諸々の事柄。
photo by Tenki SAIBARA
敗 色 豊 か 西川火尖
まだ朝の蟻を摘んでをりたるに
百日紅やはり稼がねばと思ふ
田水沸くいやにはつきり鳴るラジオ
熊蝉や弁当売り等集まり来
公園の便所日焼の眼を洗ふ
昼寝せん丈夫な川を思ひつつ
コンビニに団扇吊られて売られけり
日雷魔法瓶ン中氷だけ
夕立や動くもの熱源に帰す
へその緒や岸に赤潮来てゐたり
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1 comments:
まだ朝の蟻を摘んでをりたるに
自分の動作を説明するときに「朝の蟻を摘んでをりたるに」これって秀抜な自意識です。
コンビニに団扇吊られて売られけり
いがいにも、夏のさびしさをかんじました。
日雷魔法瓶ン中氷だけ
とりあわせ、の成功。世界への破壊のイメージが突然せり上がります。
へその緒や岸に赤潮来てゐたり 火尖
この句、みおぼえがあります。岸に寄せる赤潮の形状が臍の緒に見えて、なんだか、地球の生誕をおもわせて、しかも赤潮のいめーじは、すこしダーティです。
かんさつがゆきとどいていること、イメージが自然なようで大胆。
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